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百尺竿頭に一歩を進む

「百尺竿頭」は、30メートルほどの長い竹竿の先端ということで、私ども人間が今生きている現実をいいます。私どもは、諸行無常・諸法無我のただ中に生きています。存在する全てのものは、時間と空間の束縛を受けますので、刹那生滅しておりす。生命あるものは、死に向かって常に現象変化しております。

 私どもは、まさに絶体絶命の断崖絶壁を生きる場所としていることを自覚しなければなりません。

 「さらに一歩を進む」は、長い竹竿の先端からさらに一歩を踏み出すことをいいます。しかし、一歩を踏み出せば、真っ逆様に地上に落下してしまいます。

 人生を生きるということは、危険であっても一歩を踏み出すことに他なりません。私どもは一歩を踏み出せないので強固な「自我」をもつことになります。しかし、絶体絶命の生命を前にして「自我」は何の役にもたちません。自己を苦しめるだけです。

 「一歩を進む」生き方は、自我を造る生き方を否定して、自然や生命を支える自己の身心に感謝し、人のために生きる生き方をすることです。