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水始涸

七十二候では秋分の末候「水始涸(みずはじめてかるる)」を迎えました。

稲作が盛んな日本では、水田の水を抜き、稲刈りに備える頃と解釈されていますが、七十二候の原点とされている『礼記月令』や『淮南子』では「陰気益々強くなり水涸る」として、乾いて枯色になった秋の情景そのものをさしています。

湿気の多かった夏が終わり、みずみずしく茂っていた草木も潤いを失い、どこかもの侘しく、乾いた雰囲気が漂っています。日本人は四季の中でも晩秋をもっとも尊び、閑寂の中に漂う「もののあはれ」に、奥深い豊かさや美しさを感じてきました。

水そのものが涸れてしまうわけではありませんが、水辺にいけば、秋の風情がたっぷりと味わえます。ぜひ水辺の枯れ色をみてみてください。

秋は、生々流転の命の季節。盛んに鳴く虫たちは地中に卵を残して静かにいのちを終えていき、くさぐさもさまざまな形で種を残し、枯れてゆきます。

「水澄む」という季語もあるように、秋の水には夏のようなにぎわいはありませんが、とても静かで、清冽な印象を与えます。「水の秋」は、この秋の水の美しさを讃える季語です。