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魚行きて水濁る

魚が水のなかを静かに泳ぐ。
すると水が揺れて、底の土が僅かに舞う。
だから魚の姿が見えなくても、土でかすかに濁った水があれば、その場に魚がいたことがわかってしまう。
事実は消せないという意味の禅語である。

世に悪事は絶えない。
欲望は底が知れない。
たぶん、どこまでも沈み込んで、欲望に底などないのだと思う。