草露白
節気は白露、七十二候は「草露白」となりました。朝晩の気温が急速に下がり、草に降りた露が白く光るように見える頃。雨が降っていなくても、野を歩けば足元がぐっしょりと濡れる露時雨に秋の訪れを感じる頃でもあります。
この「白」という表現が秋そのもので、陰陽五行で秋は白を司るので、白秋と言います。また素秋という季語もありますが、「素」も白を意味しています。
白は「死と再生」の象徴であり、生々流転、いのちの循環をあらわす色でもあります。この白は無色透明、もしくは光そのものを意味しています。夜空の月が白く輝いて見えるのも、流れる白い雲も、すべて光の反射です。
「露が降りると晴れ」という天気の諺をご存知でしょうか。
露は空気中の水蒸気が冷やされてできるもので、風と雲がない晴れた夜に地上の熱が上空に逃げる「放射冷却」という現象によって発生します。
昼間に太陽熱によって蓄えられた地上の熱は、夜になると太陽光が届かなくなり、空に向かってどんどん逃げて行きます。
夜間、雲がある場合は、地上から逃げ出す熱をある程度雲が防いでくれますが、雲がない夜は、熱はそのまま宇宙へと放射され、地表温度は下がっていきます。
そして、一日のうちで最も気温が下がる明け方になると大気が冷え込み、露を結ぶというわけです。
もちろん、夜の間中雲一つなかった空は高気圧に覆われ、安定した気圧配置になっていることが多いので、昼になってもその天気は変わらず晴れのままです。
このため、昔から「露が降りると晴れ」と言われてきました。